サファイアについて | 古代から愛される聖なる宝石

サファイアは「不滅」と「純潔」を意味する青が特徴の9月の誕生石で、その名はギリシア語の「土星への敬称」が転じて「青いもの」の意味からついたと言われています。ルビー、エメラルド、ダイヤモンドと共に四大宝石と呼ばれるサファイアは、ジュエリーとしてもカラフルなバリエーションがあり重宝されています。

■ サファイアの性質

「コランダム」という鉱物の中で、赤色以外のものをサファイアといいます。赤色のコランダムはルビーとして扱われます。
青いサファイアは微量のチタンと鉄を含有していて、黄色や茶色などのサファイアはごく微量のクロムを含有しています。サファイアがルビーと同じコランダムという鉱物であると判明したのは18世紀に入ってからです。産地はタイ、ミャンマー、スリランカ、ナイジェリアが多く、日本でも富山県高沼や岐阜県の苗木で採掘されます。

コランダムはダイヤモンドの次に硬いとされている鉱物です。ちなみに人工サファイアはとても硬くて、耐熱温度が2000度と言われています。そのため人工衛星の窓や溶鉱炉の窓、半導体の基盤などに使用されています。身近なものでは、ボールペンの先やレコードの針、時計のカバーレンズなどにも使われています。

■ サファイアにまつわるエピソード

サファイアに関しては世界各地で様々な言い伝えがあり、人々からあがめられてきた歴史があります。

古代ギリシャ時代や中世ヨーロッパでは、サファイアは目に良い宝石として信じられていました。また、毒薬に対する解毒剤としても信じられていました。

ペルシア人は地球が巨大なサファイアによって支えられていると信じられ、空の青はそのサファイアがもたらす青なのだと言われていました。

また、歴史上の人物にもサファイアの価値を証明するエピソードがあります。

「東方見聞録」で知られるマルコ・ポーロは12世紀末にアジアの果てまで旅をした旅行家ですが、その記述の中でモンゴル宮廷に行く際に献上物としてサファイアを携えたとされています。当時の皇帝であったフビライ・ハンはそのサファイアの青い輝きに魅了されてマルコ・ポーロは好意的にもてなされたそうです。

同じころ、カトリック教会ではサファイアは神の光のシンボルとされ、天の力が宿るようにと聖職者はこぞって右手に身につけるようになりました。サファイアが最も聖職者の指輪としてふさわしいと考えられていたのです。

■ サファイアのカラー

別名を「青玉」もしくは「蒼玉」とされているサファイアですが、青以外にも様々なカラーのサファイアが存在します。イエローサファイア、ホワイトサファイア、ピンクサファイアなどがあり、赤色以外は虹のように豊かな色のバリエーションがあります。サファイアは見る角度によって異なる色に見える多色性のある鉱物です。19世紀以前は青いコランダムに対してのみサファイアという名前を用いていたので、現在でも青のイメージが強いのだと思います。

ピンクとオレンジの中間色のサファイアは「蓮の花のつぼみ」という意味のパパラチアサファイアと呼ばれ、産出が稀な希少石です。また、光を当てたときに星のような6本の線が見えるものはスターサファイアと呼ばれ、これも希少な石です。

澄んだ空のように美しいサファイアは、聖なる宝石、宝石の中の宝石などと呼ばれ、多彩な輝きを持つためジュエリーとしても定番です。特別な時でなくても普段から身につけられる色石としてお薦めです。

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