アメジストについて | 深い純真の愛を湛える紫の輝き

2月の誕生石として知られているアメジスト。四大宝石(ダイヤモンド、ルピー、サファイア、エメラルド)には含まれないですが、古代ギリシアやローマ時代ではトルコ石やラピスラズリなどと並び特別な石とされていました。ジュエリーとしても、エレガントでありながら透き通った紫の輝きが落ち着いた女性を演出できると人気の宝石です。

■ アメジストの性質

アメジストは水晶の一種で、和名では「紫水晶」と呼ばれます。水晶は二酸化ケイ素の結晶で、不純物やヒビが入ることで光の屈折が変わりさまざまな色になります。アメジストの紫色の原因は、第一に水晶にごく微量の鉄イオンが含まれるからです。また、放射線にさらすことで結晶の状態が変化し、結晶格子に欠陥が生じることで紫色になるとされています。

モース硬度(引っかきに対する硬さ)は7。硬度10のダイヤモンドに比べると傷がつきやすい宝石なので、お手入れはやさしく丁寧に。他の宝石などと一緒に持ち運んだり収納するのは避けましょう。
理想的な美しさでジュエリーとしても人気の宝石です。

■ アメジストにまつわるエピソード

伝統的にアメジスト特有の効力とされているのは酔い醒ましとされています。古代ギリシャ人はアメジストで作られたグラスでワインを飲むと酔わない、酩酊防止の効果があると信じられていました。また、アメジスト製のグラスに水を注ぐと、水はワインのようになるのに酔わずに飲むことができると伝えられてきました。

これはアメジストの起源に関するギリシャ神話に基づいています。酒神バッカスは女神ダイアナにふられたことに腹を立て逆恨みをし、最初に出会った人間を家来の虎に襲わせるように命じました。運命が選んだこの人間が、美しく汚れの無い乙女アメジストだったのです。

アメジストは女神ダイアナに忠誠を誓う信仰深い女性でした。運悪く、ダイアナの神殿に礼拝へ行く途中に虎に襲われてしまいます。アメジストは忠誠を誓っていたダイアナに祈ると、真っ白な石に姿を変えられて難を逃れました。

この真っ白な石が石英と考えられています。石英は柱状に成長する鉱物の代表格で規則正しい結晶形を見せる水晶です。

この奇跡を目の当たりにし自分の冷酷さを思い知り後悔した酒神バッカスは、石となったアメジストの体に赤ぶどう酒を献酒として注いだところ、美しい紫色の宝石に変わったと言われています。

この神話からアメジストを身につけると酔いが醒めるだけでなく、愛情で気持ちが高ぶりすぎている者にも効果があると伝えられてきました。

■ カラーについて

上述したようにアメジストは紫色の水晶に姿を変えた少女の名前として、ギリシャ神話にも登場します。それほど古来から気品に満ちた色調を見せるアメジストは、「純粋さ」や「信仰深さ」の象徴として貴族や王族に大切にされてきました。

一般的に紫は高貴な色と考えられています。聖徳太子が定めたとされている「冠位十二階」でも濃紫が一番高い位とされています。歴史的に見ても高い身分の方が好むほど、高貴なイメージがあるのです。

かのレオナルド・ダ・ヴィンチも「紫水晶は邪悪な想念を霧散させ、知性の働きを活発にする」と述べています。

最近ではアメジストに与えられたイメージは、深い純真の愛とされていて、燃え上がった恋の想いを冷静に落ち着かせてくれます。愛用することで、誠実さと心が穏やかになり、結果的にお互いの関係がうまくいくと言われています。このことから、ヨーロッパではアメジストを新婚夫婦にプレゼントする習慣があるそうです。純愛を守る、という意味を込めて大切なパートナーにアメジストのジュエリーを贈ってみてはいかがでしょうか。

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